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【2026年7月改訂】化粧品等の適正広告ガイドラインα版|「美容成分」が使えなくなる特記表示の新ルール

2026.10.20

2026年7月24日、日本化粧品工業会が「化粧品等の適正広告ガイドライン改訂α版」を公開しました。改訂の中心は特定成分の特記表示です。配合目的として「抗酸化成分」「肌あれ改善成分」「美肌成分」「美容成分」「エイジングケア成分」を記載することは認められないと明記されました。いずれも現場で日常的に使われている表現です。業界の自主基準であり法令そのものではありませんが、化粧品広告審査会で基準抵触と判定されれば、文書による改善要請が届きます。

この記事のポイント

  • 公開日: 2026年7月24日(日本化粧品工業会)
  • 改訂の中心: 特定成分の特記表示(F5.5・新設E24)
  • NGとされた配合目的: 抗酸化成分/肌あれ改善成分/美肌成分/美容成分/エイジングケア成分
  • 背景: 令和7年3月10日付の新通知(医薬監麻発0310第3号)が昭和60年通知を廃止したことへの対応
  • 実務上の影響: 自主基準違反でも、審査会から文書で改善要請が行われる

化粧品の広告チェックでは、薬機法と医薬品等適正広告基準が参照されます。しかし実務で表現が止まる場面を見ると、法令そのものより一段下にある「業界の自主基準」で判断されていることが少なくありません。本記事では、今回の改訂内容と、自主基準が実務にどう効いてくるのかを整理します。

自主基準は法令とどう違うのか

3層構造で理解する

化粧品広告のルールは、おおむね次の3層になっています。

階層文書性格
法令薬機法第66条(誇大広告等)違反すれば刑事罰・課徴金の対象
行政解釈医薬品等適正広告基準、各種通知法令の解釈を示す。行政の監視指導の基準
業界の自主基準化粧品等の適正広告ガイドライン業界団体が自主的に定める。化粧品に絞った例示・解説

ガイドラインは、医薬品等適正広告基準の運用解釈の範囲内で、化粧品等に絞った例示・解説を加えたものと位置づけられています。医薬品等適正広告基準は医薬品を主体に記述されているため、化粧品の解説としては分かりにくいという課題があり、それを補うために作られたものです。

「自主基準だから守らなくてよい」とはならない

自主基準に法的拘束力はありません。しかし実務上は、次の理由で無視できません。

  • ガイドラインは医薬品等適正広告基準の解釈を具体化したものであり、そこから外れた表現は行政の指導対象にもなり得る
  • 化粧品広告審査会で基準抵触と判定されれば、文書による改善要請が行われる(後述)
  • 媒体社の広告審査でも、実務上の判断基準として参照される

「法令上は明確に禁止されていないが、自主基準で止まる」という領域が実在します。 今回の改訂は、まさにその領域の話です。

2026年7月改訂で何が変わったのか

背景:2025年3月の通知が40年ぶりに置き換わった

特定成分の特記表示については、長らく昭和60年9月26日付の通知が運用の根拠でした。これが**令和7年3月10日付「化粧品における特定成分の特記表示について」(医薬監麻発0310第3号)**によって廃止・置き換えられています。

今回のα版は、この新通知を自主基準に反映したものです。つまり、行政通知が2025年3月に変わり、業界の自主基準が2026年7月に追随したという流れになります。

変更点①:認められない配合目的が明示された

化粧品で特定成分を表示する場合、配合目的の併記が必須です。これは従来からのルールですが、α版では配合目的として認められない例が具体的に示されました。

  • 抗酸化成分
  • 肌あれ改善成分
  • 美肌成分
  • 美容成分
  • エイジングケア成分

理由は、これらが当該成分が有効成分であるかのような誤解を与えたり、効能効果の逸脱となるためです。

とくに「美肌成分」「美容成分」については、「美肌」や「美容」という表現のみでは効能が不明瞭であり、ニキビ改善やシワ改善等を期待させ、有効性があるとの誤認を与えるおそれがあるとされています。

「エイジングケア成分」については、エイジングケアは年齢に応じたお手入れを示すものであるため、配合目的としては不適切と整理されています。

変更点②:成分名は一般的名称で書く

特記表示する成分名称は、一般消費者に理解できるよう、製品に記載の全成分表示名称等の一般的名称で記載する必要があります。

α版では、認められない例として「保湿成分 EGF」が挙げられています。EGFは全成分表示名称等の一般的名称ではないためです。

変更点③:名称に「薬」を含む成分の扱い

名称に「薬」の文字を含むなど、医薬品的な印象を与える成分は認められません。

記載例として、「芍薬」は「シャクヤク」と記載し「薬」の字は使用しないことが示されています。従来から「薬用炭」が問題とされてきたのと同じ考え方です。

変更点④:付随物質の特記はできない

製品に配合された成分についての特記表示は認められていますが、その成分に含有される付随物質の特記表示は認められません。

α版で示された認められない例は次のとおりです。

  • 「○○エキス(保湿)に含まれるイソフラボンが、肌にうるおいを与えます。」
  • 「うるおいに大事なビタミンを含む○○エキス(保湿)配合。」
  • 「○○エキス(保湿)にはミネラルなど肌を整える成分が含まれています。」

配合成分そのものではなく、その中に含まれる物質に言及する構成がNGということです。

変更点⑤:動画広告での配合目的の示し方

配合目的は、特記表示している成分名の前または後に記載するのが原則です。注釈等で離れた場所に記載する場合は、文字の大きさ、フォント、配置、コントラスト、色、表示時間(動画広告)等に留意し、容易に読めるようにする必要があります。

動画の場合は、配合目的が画面やナレーションで容易に理解されるように説明されていることが求められます。

医薬部外品の有効成分として使われる成分を特記する場合

医薬部外品等の有効成分として配合されることのある成分を化粧品で特記する場合は、次の3点をすべて満たす配合目的を記載する必要があります。

  1. 明示的・暗示的を問わず、有効成分であるかのような誤認を生じさせ、薬理作用などを暗示させないこと
  2. 化粧品の効能効果の範囲であること
  3. 客観的に実証されたことに基づくこと

有効成分として使われている成分を特記すると、あたかもその成分が有効成分のように誤認させやすいため、配合目的を含め広告全体としての表現にも注意が必要とされています。

自主基準違反で何が起きるのか

ここが実務上、最も気になる部分だと思います。公開資料から審査会の運用を整理します。

化粧品広告審査会という独立機関

日本化粧品工業会は、広告宣伝委員会に属する独立機関として化粧品広告審査会を設置しています。公開されている資料によれば、運用は次のとおりです。

項目内容
審査委員合計11名(第三者委員5名:医師・弁護士・行政経験者・大学教授等、広告宣伝委員会正副委員長6名)
審査対象テレビ・新聞・雑誌広告(収集は外部委託)
開催回数年3回
A判定薬機法第66条、医薬品等適正広告基準等に照らして違反相当
B判定現時点ではA判定と判断できず、今後検討を要する

第三者委員が過半近くを占める構成であり、業界の内輪の審査ではない点が特徴です。

A判定を受けるとどうなるか

A判定となった広告については、文書で改善要請が行われます。

ガイドラインの前文によれば、2001年8月以降、会員・非会員にかかわらず、医薬品等適正広告基準または化粧品の表示に関する公正競争規約に抵触している場合、広告主または広告取扱者に対して文書をもって改善要請を行い、その改善結果を文書で回答してもらうという対応がとられています。

実務上、押さえておくべきは次の2点です。

① 会員でなくても対象になる

「自社は粧工会に加盟していないから関係ない」とはなりません。

② 広告取扱者、つまり代理店・制作会社にも要請が及び得る

広告主だけでなく、広告を取り扱った側にも改善要請が行われる建て付けです。制作を受託している立場でも、無関係ではいられません。

審査結果はどう使われるか

審査結果は、薬事行政機関で構成される全国医薬品等広告監視協議会(六者協)との意見交換に用いられます。また、特に注意が必要な広告表現は粧工会のサイトに掲載され、適・不適の考え方は適正広告ガイドラインに反映されます。

つまり、審査会での判断が蓄積され、次のガイドライン改訂に反映されていくという循環があります。今回のα版も、その延長線上にあるものです。

現場でどう対応するか

① 既存のLP・商品ページの配合目的表記を洗い出す

まず確認すべきは、「美容成分」「美肌成分」「エイジングケア成分」といった配合目的を使っていないかです。これらは多用されている表現のため、該当箇所が1〜2か所で済まない可能性があります。

② 配合目的を効能効果の範囲内で言い換える

認められない配合目的に代えて、化粧品の効能効果の範囲内、または製剤技術に基づく表現を使う必要があります。

ガイドラインでは、化粧品の効能の範囲(全56項目)に基づく表現や、製剤技術に基づき製品の使用感や製品性状に関わる表現であって客観的に実証されていれば差し支えないとされています。

どの表現に置き換えるかは、その成分を何のために配合しているかという事実に基づいて決める必要があります。 「美容成分」を機械的に別の語に置換すれば済む話ではありません。

③ 成分名の表記を全成分表示名称に揃える

略称や通称で表記している箇所がないか確認します。特記表示する成分名は一般的名称で記載する必要があります。

④ 動画クリエイティブを個別に確認する

動画では、配合目的がナレーションまたは画面で理解できる形になっているかを確認します。テキスト原稿だけを見ていては判断できない領域です。

⑤ 代理店・制作会社と基準を共有する

改善要請が広告取扱者にも及び得る以上、制作を委託している場合でも、委託先と基準を共有しておく必要があります。 ガイドラインは会員以外もダウンロードできる形で公開されているため、共有自体は容易です。

チェック工数という課題

今回の改訂で問題になる表現は、単語レベルでは検出しやすいが、量が多いという性質を持っています。

「美容成分」「美肌成分」「エイジングケア成分」は、1つのブランドサイトに何十か所も登場し得る表現です。さらに、バナー画像に焼き込まれていたり、動画のテロップやナレーションに含まれていたりすると、目視での洗い出しは現実的ではなくなります。

「広告チェックAI」では、こうした配合目的表現の検知に対応しています。テキストだけでなく画像や動画をアップロードするだけで、薬機法・景品表示法をはじめとした各種法令に抵触する可能性のある表現を検知し、文脈に沿った代替表現の提案まで行います。画像OCRによる焼き込み文字の抽出にも対応しているため、バナーやパッケージ画像に含まれる配合目的表記も洗い出せます。

処理速度の目安は、Webバナー1〜2枚であれば10秒以内、1〜3分程度の動画でも2〜3分程度。自社ルールの追加にも対応しているため、今回のような自主基準の改訂を社内基準として登録し、既存コンテンツを一斉に点検する使い方もできます。

料金は初期費用無料で、月額制でご利用いただけます。ガイドライン改訂への対応に工数を割けない方は、ぜひ資料請求でプランの詳細や料金をご確認ください。

よくある質問

Q. 自主基準なので、守らなくても法令違反にはなりませんか?

自主基準そのものに法的拘束力はありません。ただし、ガイドラインは医薬品等適正広告基準の運用解釈の範囲内で作られているため、そこから外れた表現は行政の指導対象にもなり得ます。 また、化粧品広告審査会で基準抵触と判定されれば、文書による改善要請が行われます。

Q. 粧工会の会員でなければ、審査会の対象外ですか?

いいえ、対象になり得ます。 ガイドラインの記載によれば、会員・非会員にかかわらず、医薬品等適正広告基準または化粧品の表示に関する公正競争規約に抵触している場合には、広告主または広告取扱者に対して文書で改善要請が行われるとされています。

Q. 「美容成分」が使えないなら、何と書けばよいですか?

その成分を何のために配合しているかという事実に基づき、化粧品の効能効果の範囲内の表現、または製剤技術に基づく表現を使う必要があります。ガイドラインでは、保湿、着色料、着香料、洗浄成分、皮膚保護、紫外線防止成分、コーティング成分、増粘剤といった表現であって客観的に実証されていれば差し支えないとされています。機械的な置換ではなく、個別の判断が必要です。

Q. 代理店にも改善要請が来ることがあるのですか?

ガイドラインには、広告主または広告取扱者に対して文書で改善要請を行う旨が記載されています。制作を受託している立場であっても、対象から外れるとは限りません。

Q. ガイドラインは会員以外も入手できますか?

日本化粧品工業会のサイトで、自主基準・ガイドラインの「適正広告」のページから、会員以外も改訂α版を閲覧できる形で公開されています。なお、冊子としての発行・販売は行われていません。

Q. 「α版」とは何を意味しますか?

公開されている名称が「改訂α版」であり、今後さらに改訂が行われる可能性を含んだ位置づけと考えられます。ガイドライン自体にも、新規技術の開発による新規効能や運用の変化に対応する等の改訂を適時行う旨が記載されています。最新版を都度確認する運用が必要です。

まとめ

2026年7月24日公開の改訂α版について、押さえるべきポイントは次の3点です。

  • 特記表示の配合目的として「抗酸化成分」「肌あれ改善成分」「美肌成分」「美容成分」「エイジングケア成分」は認められない
  • 成分名は全成分表示名称等の一般的名称で記載し、付随物質の特記はできない
  • 自主基準違反でも、会員・非会員を問わず、広告主または広告取扱者に文書で改善要請が行われる

法令だけを見ていると、この種のルールは視界に入りません。しかし実務で表現が止まるのは、むしろこの層です。自社のコンテンツに該当表現がないか、この機会に点検してみてください。

出典: 日本化粧品工業会「化粧品等の適正広告ガイドライン改訂α版」(2026年7月24日公開)、「化粧品における特定成分の特記表示について」(令和7年3月10日 医薬監麻発0310第3号)、日本化粧品工業会 啓発推進委員会 適正広告研究部会「『化粧品等の適正広告ガイドライン』について」(京都府公開資料)


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