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【後編】食品広告チェックで見落としやすい7つの確認箇所|本文以外に潜むリスク

2026.10.02

食品広告のチェック事故は、表現の判断ミスよりも**「そもそも確認していなかった」**ことで起きます。本文の文言は入念に見たのに、グラフの試験条件を確認していない。体験談の打消し表示が機能していない。バナー画像に焼き込まれた文字を見ていない。消費者庁の実態調査では、強調表示に気付いた人のうち79.8%が打消し表示を見落としていたという結果も出ています。見る人が見落とすものは、チェックする側も見落とします。

この記事のポイント

  • 7つの確認箇所: ①グラフ・試験結果 ②体験談 ③打消し表示 ④画像内の焼き込み文字 ⑤ランキング・No.1表示 ⑥商品名・キャッチコピー ⑦申込導線まで含めた全体
  • 最も見落とされやすい: 打消し表示(79.8%が見落としという調査結果)
  • 体験談の必要表示: 被験者数・属性、効果が得られた者の割合、得られなかった者の割合
  • 前提: カテゴリ判定が済んでいること(前編参照)

本記事は食品広告チェック実務シリーズの後編です。前編では判断の軸となるカテゴリ判定を扱いました。後編では、カテゴリが確定した前提で、どこを見落としやすいかを整理します。

なぜ「確認し忘れ」が起きるのか

チェック業務では、どうしても本文のテキストに意識が集中します。 原稿として渡されるのが文章だからです。

しかし実際の広告は、文章以外の要素を大量に含んでいます。グラフ、写真、バナー画像、キャプション、注釈、申込フォームの文言。これらは「原稿」として渡されないことも多く、確認対象から漏れやすい構造があります。

さらに厄介なのは、個別に見れば問題ない要素が、組み合わさって誤認を生むケースです。消費者庁の留意事項でも、表示された効果・性能等とは「文章、写真、試験結果等から引用された数値、イメージ図、消費者の体験談等を含めた表示全体から一般消費者が認識する効果、性能等」であると明記されています。

つまり、要素ごとのチェックでは足りず、全体として何が伝わるかを見る必要があるということです。

見落としやすい7つの確認箇所

① グラフ・試験結果:条件が書かれているか

グラフの使用自体は問題ありません。消費者庁の留意事項でも、広告や容器包装等において試験結果やグラフを使用することが、直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではないとされています。

問題になるのは使い方です。チェック時の確認点は次のとおりです。

  • 根拠となる調査条件や出典が明瞭に記載されているか
  • 被験者の条件が書かれているか(例:「食後血糖値高めの方(境界域の方)」が対象なら、その旨を明記)
  • 研究レビューに基づく場合、本品を用いた結果ではない旨が書かれているか
  • 極端なトリミングやスケール調整で、効果が過大に見えていないか
  • 特定のポイントだけを取り出して強調していないか

とくに縦軸のスケール操作は見落としやすい箇所です。グラフの見た目だけで判断せず、軸の数値を確認する習慣が必要です。

② 体験談:3つの数値が明示されているか

体験談の使用も、それ自体が直ちに問題となるわけではありません。ただし、消費者庁の考え方では、体験談を用いる場合に次の3点を明瞭に表示すべきとされています。

  1. 被験者の数およびその属性
  2. 体験談と同じような効果・性能が得られた者が占める割合
  3. 体験談と同じような効果・性能が得られなかった者が占める割合

実務でこの3点が揃っている広告は多くありません。チェック時には、体験談があれば自動的にこの3点を確認する運用にしておくと漏れを防げます。

あわせて確認すべき点があります。

  • 体験談の実在性:体験者が存在しない、体験談を捏造したケースは明確な違反です
  • 他の努力の有無:食事制限や運動を併用していた場合、それを伏せて「摂取するだけ」の印象を与えていないか

③ 打消し表示:機能していない可能性を疑う

ここが最も見落とされやすい箇所です。

消費者庁の実態調査によれば、強調表示に気付いた回答者のうち79.8%が打消し表示を見落としていたという結果が出ています。一般消費者の8割が見ていないものを、チェック担当者が「記載がある」という理由で合格にしてしまう構造があります。

確認すべきは「書いてあるか」ではなく「機能しているか」です。

  • 文字の大きさ:見落とすほど小さくないか。媒体の特性(手に取って見るのか、離れた場所から見るのか)を踏まえた大きさか
  • 背景との区別:文字と背景の区別がつきにくくなっていないか
  • 内容の理解可能性:一般消費者が読んで意味が分かるか
  • 強調表示との矛盾:打消し表示が強調表示と矛盾していないか

とくに注意が必要なのが、「個人の感想です」が免罪符にならないという点です。この文言は体験談で示された効果を打ち消すものではありません。届出された機能性の範囲を逸脱した体験談に「個人の感想です」を付けても、逸脱は解消されません。

④ 画像内の焼き込み文字:原稿に載らない文言

バナーやキービジュアルに焼き込まれた文字は、テキスト原稿に含まれないため確認から漏れがちです。

  • バナー画像内のキャッチコピー
  • 商品写真に重ねられた訴求文言
  • パッケージ写真に写り込んだ文言
  • 比較表やインフォグラフィック内のテキスト
  • 動画のテロップ

これらも当然、表示の一部として評価されます。画像を一つずつ開いて文字を読む作業は負担が大きいため、実務では見落としが集中します。

なお、広告画像については文字情報以外にも注意すべき論点があります。詳しくは広告画像の掲載時には注意したい!関連する法律・規制のまとめをあわせてご覧ください。

⑤ ランキング・No.1表示:調査の実体があるか

「売上No.1」「満足度No.1」といった表示は、調査の実体がなければ優良誤認表示となります。

  • 調査の実施主体、調査対象、調査期間、出典が明示されているか
  • 調査対象が訴求内容と対応しているか(例:「満足度No.1」の調査が、実際には認知度を調べたものではないか)
  • アフィリエイターや制作会社が独自に追加したランキング表現がないか

⑥ 商品名・キャッチコピー:本文以外の訴求

本文を慎重に書いていても、商品名やキャッチコピーに効果を示唆する語が入っていれば、全体として効能を標ぼうしていると評価され得ます。

  • 商品名自体に効果を示す語が含まれていないか
  • メインビジュアルのキャッチコピーが、本文より踏み込んでいないか
  • サブコピーや見出しが、本文の説明より強い印象を与えていないか

⑦ 申込導線まで含めた全体:LP下部も確認対象

LPの上部は入念にチェックされますが、下部の申込フォーム周辺やFAQは確認が手薄になりがちです。

  • FAQ内で効果に言及していないか
  • 申込フォーム周辺の文言が、本文と矛盾していないか
  • 定期購入の条件表示が、広告の訴求と一致しているか

LPは上から下まで一つの表示です。途中で基準を緩めないことが必要です。

チェック順序の設計

7箇所を漏れなく見るには、確認の順序を固定しておくのが有効です。

推奨する順序

  1. カテゴリを確定する(前編参照)
  2. 本文テキストを確認する
  3. 画像を一つずつ開き、焼き込み文字を確認する
  4. グラフがあれば、条件・出典・軸を確認する
  5. 体験談があれば、3つの数値と打消し表示を確認する
  6. ランキング・No.1表示があれば、調査根拠を確認する
  7. LP全体を通しで読み、全体として何が伝わるかを確認する

最後の7番が重要です。要素ごとの確認が終わったら、一度通しで読んで全体の印象を確認する工程を入れます。個別に問題がなくても、組み合わせで誤認が生じるケースを拾うためです。

見る順序を変えてみる

同じ順序で見続けると、特定の箇所への注意が薄れます。ときどき下から上に読む、画像だけを先に確認するといった順序の変更を入れると、見落としに気付きやすくなります。

チェック工数という課題

7箇所を毎回確認する運用は、確実性は高いものの工数がかかります。

とくに負担が大きいのが、画像内の文字の確認です。バナーが10枚あれば10枚を開いて読む必要があり、商品数が増えれば作業量は比例して増えます。動画であれば、テロップを追うために再生し直す必要もあります。

「広告チェックAI」では、テキストだけでなく画像や動画をアップロードするだけで、薬機法・景品表示法・健康増進法をはじめとした各種法令に抵触する可能性のある表現を検知できます。本記事の文脈でとくに有効なのは次の点です。

画像OCRによる焼き込み文字の抽出

前述の④にあたる作業を自動化できます。バナーやパッケージ画像に含まれる文言を抽出して判定するため、目視で開いて読む工程を削減できます。

ビジュアル表現そのものの判定(特許出願中)

文字情報がなくても、画像そのものが法令に抵触するケースがあります。広告チェックAIの画像判定機能は、こうしたビジュアル表現も自動判定の対象とします。

  • 白衣姿の人物:医薬品的な効果や専門家による保証を暗示していないか
  • ビフォーアフター画像:効果を断定的に示していないか
  • 果物の断面図:果汁の割合に見合わない量の果実を描いていないか

いずれも、原稿のテキストを読むだけでは拾えない論点です。担当者が気づかないまま公開されやすい領域を自動的にカバーできます。

代替表現の提案

問題箇所の指摘にとどまらず、文脈に沿った代替案まで提示します。差し戻し時に修正の方向性を添えられるため、制作側との往復を減らせます。

処理速度の目安は、Webバナー1〜2枚であれば10秒以内、1〜3分程度の動画でも2〜3分程度です。一次チェックを自動化し、担当者は全体の印象や文脈判断といった、人でなければ難しい論点に集中する体制が作れます。

料金は初期費用無料で、月額制でご利用いただけます。チェック担当者の工数や、見落としが生じた場合の対応コストと比較していただくと、導入判断がしやすいかと思います。食品広告のチェック工数に課題を感じている方は、ぜひ資料請求でプランの詳細や料金をご確認ください。

よくある質問

Q. 「個人の感想です」と書いてあれば、体験談は自由に使えますか?

いいえ、使えません。 この打消し表示は、体験談で示された効果を打ち消すものではないとされています。届出された機能性の範囲を逸脱した体験談であれば、注記を付けても逸脱は解消されません。あわせて、被験者数・属性、効果が得られた者と得られなかった者の割合を明瞭に表示することが求められます。

Q. グラフを載せること自体が問題になりますか?

いいえ。消費者庁の留意事項でも、試験結果やグラフの使用が直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではないとされています。問題となるのは、調査条件や出典が明記されていない場合や、スケール調整・トリミングによって効果が過大に見える場合です。

Q. 打消し表示は、どのくらいの大きさなら十分ですか?

一律の基準はありません。消費者庁は、表示物の媒体ごとの特徴(手に取って見るものか、離れた場所から目にするものか)を踏まえ、一般消費者が実際に目にする状況において適切と考えられる文字の大きさで表示する必要があるとしています。

Q. バナー画像内の文字も確認が必要ですか?

はい、必要です。 表示された効果・性能等は、文章だけでなく写真、試験結果から引用された数値、イメージ図、体験談等を含めた表示全体から判断されます。画像内の文言も表示の一部です。

Q. 要素ごとにチェックすれば十分ですか?

要素ごとの確認に加えて、全体を通しで確認する工程が必要です。個別には問題がなくても、組み合わせによって一般消費者に誤認を生じさせる場合があるためです。

まとめ

食品広告のチェックで押さえるべきポイントは次の3点です。

  • 事故は表現の判断ミスより「確認し忘れ」で起きる。 確認箇所を固定し、毎回同じ手順で見る
  • 打消し表示は「書いてあるか」ではなく「機能しているか」を見る。 一般消費者の8割が見落としているという調査結果がある
  • 要素ごとの確認の後に、全体を通しで読む工程を入れる

前編で扱ったカテゴリ判定と、後編の確認箇所を組み合わせることで、チェック業務の精度と再現性が上がります。担当者が変わっても同じ品質を保てる体制づくりに役立てていただければ幸いです。

出典: 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」、消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」(平成29年7月)、消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」、消費者庁「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」

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