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広告審査とは？広告担当者が知っておくべき実務の流れを解説

2025.09.19

企業の広告活動において、法令やガイドラインを遵守し、消費者の信頼を確保するために欠かせないプロセスが「広告審査」です。不適切な広告によるリスクを未然に防ぎ、スムーズな広告配信を実現するためには、その仕組みを正しく理解しておく必要があります。
本記事では、広告審査の基本的な流れから、注意すべき法律、そして審査を通過するためのコツまでを網羅的に解説します。

広告審査とは？

広告審査とは、広告が法令やガイドラインに準拠しているかを確認し、消費者に誤解を与える表現が含まれていないかを社内でチェックするプロセスを指します。広告は企業にとって商品やサービスを広める重要な手段ですが、自由に表現できるわけではありません。もし不適切な広告を配信すれば、行政処分や訴訟リスクに加え、企業イメージの毀損や炎上といった深刻なダメージを招く可能性があります。

つまり広告審査は、法令違反を未然に防ぎ、消費者保護と企業の信頼性を両立させるために欠かせないステップなのです。

広告審査の流れと対象

広告審査は、多くの企業で以下のような流れをたどります。

１．広告案の作成：企画・マーケティング担当者がコピーやデザインを作成する。
２．社内チェック：法務部門や薬事担当が表現を確認・修正提案を行う。
３．専門家によるレビュー：必要に応じて弁護士や外部コンサルタントの意見を反映する。
４．広告の修正と掲出：問題点が指摘された場合は修正し、審査を通過すれば広告を出掲する。

広告審査の対象は、顧客を誘引する「広告」すべてが該当します。例えばリスティング広告やSNS広告、動画広告といったデジタル広告はもちろん、チラシや新聞広告、商品パッケージといった紙媒体も含まれます。特に、医薬品・化粧品・健康食品のように消費者の健康に直結する分野や、金融のように人の人生を左右する可能性のある分野では、特に厳格な審査が行われるのが特徴です。

広告審査で主に審査される法律・ガイドライン

広告審査で確認すべき法律やガイドラインは主に以下のものがあります。

景品表示法

景品表示法では、不当な表示から一般消費者の利益を守るために、商品・サービスを実際以上に優良であると誤認させる「優良誤認」や、取引条件を有利に見せかける「有利誤認」を禁止しています。
（参考）消費者庁　景品表示法関係ガイドライン等

薬機法

薬機法は、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の品質・有効性・安全性を確保するためにその製造、販売、広告、表示などに関するルールを定めた法律です。例えば医薬品でないにもかかわらず「病気が治る」「絶対に効果がある」といった表現を用いると違反となります。
また、薬機法の規制と共に「医薬品等適正広告基準」や「化粧品等の適正広告ガイドライン」では具体的な広告表現の判断について知ることができます。
（関連記事）代理店視点で考える、クライアントワークで押さえるべき薬機法ガイドライン

健康増進法

健康増進法では、健康食品を含む食品の広告について、健康の保持増進の効果や栄養成分の効果などを著しく事実と異なる表示、または著しく人を誤認させるような表示を用いて広告することを禁止しています。
（参考）消費者庁　健康増進法(誇大表示の禁止)

金融商品取引法

金融商品取引法では、投資家の保護と健全な市場形成を目的に、証券会社などの金融商品取引業者が作成する広告にルールを定めています。リスク情報や顧客が支払うべき手数料等などの所定事項の表示義務を課すとともに、虚偽・誇大広告等を禁止しています。
（参考）一般社団法人第二種金融商品取引業協会　広告等に関するガイドライン

不正競争防止法

不正競争防止法は事業者間の公正な競争を促進するために、著名な商品等表示の冒用や、商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示などを禁止しています。
（参考）経済産業省　不正競争防止法

これらの法律は単独で適用されるだけでなく、相互に関連しながら広告表現を規制しています。そのため広告担当者は、それぞれの法律・ガイドラインの知識を備えておくことが求められます。