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サプリメントの広告で「ダイエット」訴求はNG?関連する法律と適切な言い換え表現を解説

ダイエットに関連するサプリメント(健康食品)市場は、消費者の健康志向の高まりとともに拡大を続けています。それに伴い、Web広告やSNS、アフィリエイトなどを活用した広告を目にする機会も急増しました。しかし、人の身体や健康に影響を与える可能性がある商品だからこそ、その広告表現は法律で厳しく規制されています。
「この表現なら大丈夫だろう」という安易な判断が、意図せず法律違反となり、行政処分やブランドイメージの失墜といった深刻な事態を招くケースも少なくありません。
本記事では、ダイエットに関連するサプリの広告に携わるすべての担当者が必ず押さえておくべき「薬機法」「景品表示法」「健康増進法」の3つの法律について、具体的なNG表現例を交えながら、どのような表現を用いれば適切に消費者に伝えられるのか、分かりやすく解説します。
なぜ「ダイエット」に関わる商品の広告表現は特に厳しいのか?
ダイエット関連商品の広告規制が厳しい理由は、消費者の健康と安全を守るためです。
医薬品とは異なり、サプリメント(健康食品)はあくまで「食品」です。しかし、広告で「飲むだけで痩せる」「脂肪を燃焼させる」といった医薬品のような効果をうたってしまうと、消費者は「薬と同じような効果があるんだ」と誤解し、本来必要な治療の機会を逃したり、過剰な期待から不適切な使用をしてしまったりする可能性があります。
こうした誤解や健康被害を防ぎ、消費者が商品を正しく理解して選択できるようにするために、法律による厳格なルールが設けられているのです。広告担当者はこの前提を常に念頭に置き、関連法規を正しく理解し遵守することが求められます。
サプリメントの広告で押さえるべき3つの法律
サプリメントの広告は、主に以下の3つの法律に抵触しないか注意する必要があります。それぞれ目的や規制の対象が異なるため、個別に理解しておくことが重要です。
法律名 | 所管官庁 | 主な目的 | サプリメントの広告の場合における抵触内容 |
薬機法 (医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律) | 厚生労働省 | 医薬品等の品質・有効性・安全性を確保する | 医薬品と誤認されるような効果効能の標ぼうは認められない。 |
景品表示法 (不当景品類及び不当表示防止法) | 消費者庁 | 商品・サービスの品質や価格等に関する不当な表示を規制する | 事実と異なる、または事実以上に著しく優良・有利であると誤認させる表示は認められない。 |
健康増進法 | 厚生労働省 | 国民の健康の増進を図る | 食品として販売されるものに関し、健康の保持増進の効果等について虚偽・誇大な表示は認められない。 |
では、それぞれの法律について、具体的なNG表現とOKな言い換え例を見ていきましょう。
薬機法 (医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)
薬機法は、ダイエット関連商品の広告において最も注意すべき法律です。サプリメントはあくまで「食品」であり、「医薬品」ではありません。したがって、身体の構造や機能に影響を与えたり、病気の治療・予防を目的としたりするような、医薬品的な効果効能を暗示・標ぼうすると薬機法違反となる可能性があります。
【薬機法におけるNG表現の具体例】
「痩せる」「痩身」「ダイエット」といった言葉を、サプリメントの効果として直接的に使用することはできません。また以下のような表現にも注意しましょう。
☑身体の変化を断定・保証する表現
・NG:「飲むだけで脂肪を燃焼・分解します」
・NG:「腸内環境を改善し、痩せやすい体質へ変化」
・NG:「これを飲めば、リバウンド知らずのカラダへ」
☑特定の部位への効果を示す表現
・NG:「気になるお腹の脂肪を落とす」
・NG:「二の腕のたるみにアプローチ」
☑病気の予防・治療に関する表現
・NG:「生活習慣病の予防に」
・NG:「便秘解消」
☑用法・用量を明確に指定した表現
・NG:「毎食後に服用してください」
・NG:「1日3回、1回2錠でお飲みください」
【OK表現への言い換えアプローチ】
薬機法に抵触しないためには、「食品」としての範囲を逸脱しない表現に留める必要があります。
☑栄養補給やカロリーに着目した表現
・OK:「ダイエット中の栄養補給をサポートします」
・OK:「食事のカロリーが気になる方に」
・OK:「不足しがちな〇〇(栄養素名)を手軽に補給」
☑ライフスタイルや美容のサポートを訴求する表現
・OK:「毎日のスッキリ気分を応援します」
・OK:「美容と健康の維持におすすめです」
・OK:「運動時のエネルギーチャージに」
☑事実に基づく成分の訴求
・OK:「話題の成分〇〇を△△mg配合」
☑推奨される飲み方の表現
・OK:「1日2~3錠を目安にお飲みください」
【注意】機能性表示食品の場合
事前に消費者庁に届け出た「機能性」の範囲内であれば、効果効能を標ぼうすることが可能です。 (例:「本品には〇〇が含まれます。〇〇には、肥満気味の方の体脂肪、血中中性脂肪、体重、ウエスト周囲径の減少をサポートし、高めのBMI値の改善に役立つことが報告されています。」)ただし、届け出た表示内容を超える表現は認められないため、注意が必要です。
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
景品表示法は、消費者が商品やサービスを自主的かつ合理的に選べるようにするための法律です。
主に「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の2つが問題となります。
①優良誤認表示:実際よりも著しく良いものだと誤解させる表示
ダイエットサプリ広告で特に問題になりやすいのが、この優良誤認表示です。
【景表法(優良誤認)におけるNG表現の具体例】
☑根拠のない効果・性能の表示
・NG:「科学的に証明された痩身効果!」(客観的な証明がない場合)
・NG:「医師が推奨するサプリメント」(一部の医師の意見を、全体の総意のように見せる場合)
☑No.1表示(最上級表現)
・NG:「売上No.1」(客観的な調査に基づかない場合)
・NG「顧客満足度98%」(客観的な調査に基づかない場合)
・表現する場合には:
第三者機関による客観的な調査データが必要です。広告には、「調査機関名、実施期間、調査範囲(例:〇〇市場における売上実績)」などを、消費者が認識できる場所に明確に記載する必要があります。
☑ビフォーアフター写真・イラスト
・NG:写真の過度な加工や修正、極端な成功事例のみを掲載した場合
・表現する場合には:
加工・修正をしていない、同一人物・同一条件下での比較写真を掲載します。
適切な運動や食事制限を並行して行ったことや、適切な期間などを表示します。
②有利誤認表示:取引条件が実際よりも著しく有利だと誤解させる表示
サプリメントの場合には、提供価格やキャンペーン期間に関する表示も厳しくチェックされます。
【景表法(有利誤認)におけるNG表現の具体例】
☑二重価格表示
・NG:「通常価格10,000円のところ、今だけ5,000円!」(「通常価格10,000円」で販売した実績が全くない場合)
・表現する場合には:
比較対照となる「通常価格」が、過去に相当期間(例えば、直近8週間のうち4週間以上)販売されていた実績が必要です。
☑キャンペーン期間表示
・NG:「本日限定価格!」(実際には、翌日以降も同じ価格で販売を続ける場合)
・表現する場合には
「本日限定」「先着100名様限定」のような限定表現は、事実である場合のみ使用します。
(関連記事)二重価格表示の注意点と違反事例|EC事業者が失敗しない商品ページとは
健康増進法
健康増進法は、国民の健康維持・増進を目的としており、食品の広告における虚偽・誇大な表示を禁止しています。薬機法や景表法と重なる部分も多いですが、特に「健康の保持増進の効果」に関する表示が対象となります。
【健康増進法におけるNG表現の具体例】
・NG:「このサプリを飲めば食事は不要」
・NG:「カロリーゼロ」 (100gあたり5kcal未満でない場合)
(関連記事)健康食品の広告担当者必見!広告表現に関する法律のポイントと対策
「個人の感想」である体験談の表現にも注意
広告で頻繁に用いられる「お客様の声」や「愛用者の体験談」。これらは、「※あくまで個人の感想です」という注釈(打消し表示)を入れれば何を書いても良い、というわけではありません。
体験談であっても、内容が医薬品的な効果効能を暗示したり、効果を保証したりするものであれば、広告主の表示と見なされ、薬機法や景表法違反に問われます。
【体験談のNG表現の具体例】
・NG:「これを飲み始めたら、1ヶ月で体重が5kgも落ちました!」
・NG:「長年悩んでいたお通じが、毎日スッキリ出るようになりました。」
・NG:「運動なしでも、お腹周りが引き締まってきたのを実感しています。」
広告に体験談を掲載する場合は、商品の飲みやすさやサービスの良さ、継続しやすさなどの感想にとどめ、効果効能を保証するような表現は避けるようにしましょう。
法律に違反した場合のペナルティ
万が一、これらの法律に違反してしまった場合、企業は行政措置や刑事罰を受ける可能性があります。また、企業のブランドイメージが傷つき、社会的な信用を失うことも企業にとっては大きな痛手です。
サプリメントの広告チェックには「広告チェックAI」を活用しよう!
ダイエット関連商品の広告表現は、多くの法律が絡み合う複雑な領域です。法律を正しく理解して適切な表現を用いることが大切です。
しかし、担当者一人ひとりの知識や経験に頼った属人的なチェックには限界があり、意図せずして規約違反を犯してしまうヒューマンエラーのリスクは常に付きまといます。
このようなリスクを効率的かつ正確に管理するために、AI技術を活用した広告チェックツールの導入も有効な選択肢です。 AIが最新の法規制や広告ガイドラインに基づいて広告表現をチェックすることで、担当者はよりクリエイティブな業務に集中でき、企業全体として広告のコンプライアンス体制を強化することが可能になります。
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