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夏のセールやキャンペーンで多発する法令違反パターンを総点検

担当：藤原智沙恵

2025.06.24

今年の夏も各社がサマーセールを打ち出し、売上拡大の大きなチャンスを迎えます。実店舗はもちろん、ECサイト、SNS、メールマーケティングなど、プロモーションチャネルは多岐にわたるでしょう。しかしどのような広告媒体であっても、消費者の目を引こうと法令を無視した誇大な広告を出してしまうと、「景品表示法違反」として重大なペナルティを受ける可能性があるので注意が必要です。

この記事では、夏セール広告を制作する際の重要なポイントをご紹介します。

景品表示法とは

景品表示法は、消費者が商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ることを目的とした法律です。具体的には、以下の2つの柱で構成されています。

不当表示の禁止（表示規制）

商品やサービスの内容、品質、価格などについて、消費者をだますような「不当な表示」を禁止しています。主な不当表示は以下のようなものがあります。

優良誤認表示

実際よりも「著しく優れている」と誤解させる表示をいいます。

（例）根拠なく「日本一売れている」「業界最安値」と謳う表示

有利誤認表示

実際よりも「著しく有利である」と誤解させる表示をいいます。

（例）事実と異なる「今だけ限定」の表示

過大な景品類の提供の制限・禁止（景品規制）

消費者が景品に釣られて商品・サービスの本質を見極められないまま購入することを防ぐため、提供される景品類（おまけやプレゼントなど）が過大になりすぎないように制限しています。

（参考）消費者庁　事例でわかる景品表示法 

セール広告でよくある違反表示とは

ここではセール広告で注意すべき、具体的な表示をご紹介します。

二重価格表示

二重価格表示とは、商品やサービスの「現在の販売価格」と、それよりも高い「別の価格（比較対照価格）」を併記して表示することです。

例えば、「通常価格10,000円が、今だけ6,000円！」といった表示を指します。

これは、消費者に商品の安さやお得感を強くアピールするために使われる手法であり、適切に行われれば問題ありません。しかし、もし比較対照価格が実態と異なるものであれば、景品表示法の有利誤認表示となる可能性があります。

二重価格表示で用いられる比較対照価格のルールは、「8週間ルール」などの基準で細かく規制されており、適切な設定方法はこちら▼の記事をご参照ください。

内部リンク：二重価格表示の注意点と違反事例｜EC事業者が失敗しない商品ページとは

おとり広告

おとり広告とは、広告された商品やサービスがそもそも取引できない（または取引する意思いがない）にもかかわらず、あたかも取引できるように見せかけて消費者を誘い込む表示のことです。

例えば、「特別セール！限定100個！」と大々的に広告しながら実際には数個しか用意せず、別の商品を執拗に勧める場合などを指します。

おとり広告は、内閣総理大臣が告示により指定した表示のうちの一つとして、不当表示に規定されています。

（参考文献）消費者庁おとり広告に関する表示(告示)

セールの期限表示

「今買わないと損をする」と誤認させるような期限の表示も有利誤認表示に該当する可能性があります。例えば、「本日限り！」「今週末まで！」「○月○日まで！」と表示しながら、実際には期限を過ぎても同じ価格で販売し続ける場合や、「好評につき延長！」と表示し、何度も期間を延長する場合があげられます。

根拠のないNo１表示

「売上No.1」「満足度No.1」「最安値No.1」のようなNo1表示もセール広告で頻繁に使用され、かつ景品表示法違反のリスクが高い表示です。No1表示は合理的な根拠がない場合、景品表示法の優良誤認表示または有利誤認表示として規制されます。特に近年はNo1表示の摘発事例が増えており、注意が必要です。

内部リンク：No.1表示で指摘されるケースが多発！罰則や表記の注意点を解説