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クリニックが守るべき医療広告ガイドラインとは?NG表現や最新の違反事例も紹介

医療広告を打つ際には、他の広告よりも慎重な配慮が必要になります。
なぜなら医療は、人の命や身体にかかわる重要な領域だからです。
医療広告において、虚偽や不当な表現があれば重大な影響をおよぼしかねません。 そこで設けられているのが「医療広告ガイドライン」です。
この記事では、ガイドラインの内容や違反表現、医療機関における近年の違反事例について解説します。
医療広告ガイドラインとは
医療広告ガイドラインの正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」で、医療機関が広告を出す際に守るべきルールを定めたものです。
医療広告ガイドラインは厚生労働省が策定|目的と背景
厚生労働省により、2018年6月から医療広告ガイドラインが施行されました。
その背景には、医療広告の増加と、それにともなう消費者トラブルの増加があります。とくに近年はインターネットやSNSを通じて誤認を招くような広告が拡散されるケースが、問題視されるようになりました。
たとえば医療行為や医薬品の効果に対する過剰な表現、根拠のない数値、芸能人・インフルエンサーによる推薦コメントなどは、消費者の判断を誤らせる可能性があります。
そのため医療広告には、明確なガイドラインが決められているのです。
なお医療広告ガイドラインは、時代にあわせて改正がおこなわれており、最新の2024年3月にはSNS広告や動画広告などを含めて事例解説集が更新・追加されています。
病院など医療施設の広告がガイドラインの対象
医療広告ガイドラインの対象は、以下のような医療にかかわる施設やサービス提供者などすべてです。
・医師、歯科医師
・病院、診療所、歯科医院、美容クリニック
・広告代理店、マスコミ
・アフィリエイターなど
さらに注意したいのが、広告主だけでなく、制作・運用を行う側もガイドラインの責任を問われる点です。
医療事業者だけでなく広告代理店、制作会社、ECサイトの広告担当者などは、医療広告ガイドラインを正しく理解しておく必要があります。
医療広告ガイドラインの対象媒体
あらゆる媒体の広告が、医療広告ガイドラインの対象となります。
・テレビ・ラジオCM
・チラシ・ポスター・看板
・新聞・雑誌広告
・Web広告・Webサイト・バナー広告
・メールマガジン・LP
・SNS投稿・動画広告 など
なお学術論文や、医療機関受診への誘引性がない新聞記事や求人広告などは医療広告と見なされず、ガイドラインの対象とはなりません。
医療広告ガイドライン違反となる表現とは
では、具体的にどのような表現がガイドライン違反となるのでしょうか。主な例をいくつか紹介します。
虚偽広告
医学的に根拠がないものや、実現できないことを伝える広告は明確に禁止されています。
たとえば、以下のような表現です。
・「この治療で100%完治します」
・「絶対に副作用はありません」
・「厚労省認可の専門医です」
・「手術をすればこんなに変わります(加工した手術前後の写真と共に掲載)」
手術前後の写真について、顕著な効果があるかのように見せるために加工・修正することは虚偽広告にあたります。ただし、写真が事実であれば、治療内容や費用、リスク・副作用などの詳細な説明を加えることで掲載できる場合もあります。
誇大広告
事実を不当に誇張したり、科学的根拠に乏しい情報を提示して患者に過度な期待や不安を抱かせたりするような表現は禁止されています。
・「東京都知事の許可を得ています」
・「月額○○円で無制限に脱毛可能(実際は患者の状態で制限あり)」
・「優秀な医師が最先端の治療を行います」
・「○○症状があれば、がんかもしれません」
たとえば、病院を開設するにあたり都道府県知事の許可を得ることは当然のことにもかかわらず、それを強調した広告は誇大広告になります。
比較優良広告
他の病院などと比較して、自院をよいとアピールする広告は、たとえ事実であってもできません。
・「がんの治療では日本一の病院です」
・「地域No.1の医師数をほこります」
・「最新の医療技術で他院よりも安全」
・「圧倒的な手術実績で芸能人の○○さんも来院!」
なお「最新の治療法」や「最新の医療機器」の表現は事実であれば必ずしも禁止されるものではありませんが、根拠を提示して実証する必要があります。
口コミ・体験談の使用
医療広告に、以下のような治療内容や治療効果に対する主観的な体験談を掲載することも認められません。
・「たった1回で肌が劇的に変わりました」
・「他院ではダメだったけど、この病院で治りました」
・「手術はたった半日で終わり、術後も副作用なく受けて良かったです」
患者の自主的なSNS投稿や、第三者運営の口コミサイトなどに患者自身が書きこむ体験談の場合であれば問題ありませんが、クリニックが依頼した誘引目的の投稿・引用は医療広告とみなされ規制の対象となります。
公序良俗に反する広告や品位を損ねる広告
残虐性やわいせつ、他人を貶める医療広告はできません。
またキャンペーンやプレゼントなど、医療機関としての品位を損ねる広告も避ける必要があります。
・「今なら〇〇施術がし放題のキャンペーン中」
・「治療を受けたら〇〇をプレゼント」
・「口コミを書いてくれたら〇〇円割引します」
(参考)
・厚生労働省 「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」
・厚生労働省 医療広告ガイドラインに関するQ&A
医療機関の広告における違反事例
広告上の不適切な表現以外にも、近年ではいわゆる広告と見せかけない「ステルスマーケティング違反」で指摘される医療機関の事例も増えています。
2025年3月には、東京都の歯科医院がGoogleマップの口コミへ★5の高評価を付けてもらうことと引き換えに、診療費を値引きするといった行為が景品表示法違反にあたるとして、消費者庁から措置命令が出されました。
この事例では景品表示法違反となりましたが、医療広告ガイドラインの観点からも、医療機関への誘引を目的として患者に虚偽の口コミを依頼することは認められません。
(参考)消費者庁「医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について」
内部リンク:知らぬ間に違反?景表法におけるステマチェックの重要性と最新対策
病院やクリニックの医療広告はガイドラインを正しく理解してリスク回避を
医療広告は、不適切な表現をした場合に人々の健康被害を招く可能性があることから通常の商品広告よりも慎重に対応しなければなりません。
近年では、動画やSNS広告の需要が高まるとともに、医療機関のガイドライン・法令違反も増加しています。とくに自由診療の美容クリニックや歯科医院のインプラント治療において過激な広告が増えている傾向です。
違反が認められれば、医療機関としての信頼を失うだけでなく、「行政指導」や「措置命令」などを受けたり、さらには6か月以下の懲役または30万円以下の罰則が課されたりする場合もあります。
医療機関はもちろん、広告制作会社や配信媒体側にも責任がおよぶ可能性があるため、厳格なチェック体制が必要です。
広告チェックAIでは、医療広告ガイドラインに則った医療広告のチェックが可能です。また、動画や画像チェックにも対応しているため、効率的な広告制作にお悩みの方はぜひご相談ください。
(参考)
・厚生労働省 「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」
・e-GOV「医療法」
AIを搭載した広告表現チェックツールにURLや画像を入力するだけで、
法令
(薬機法、景表法など)
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