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アフィリエイト広告の責任は誰にある?2026年3月の措置命令事例に学ぶ広告主の管理義務

アフィリエイト広告の表現に問題があった場合、原則として景品表示法上の責任を負うのは広告主(商品を販売する事業者)です。広告代理店や広告制作会社に広告内容の決定を委ねていた場合でも、この原則は変わりません。2026年3月、東京都は美白美容液のアフィリエイト広告について、景品表示法第5条の3つの類型すべてで違反を認定し、措置命令を行いました。ステマ規制施行後、3項目すべてでの違反認定は初のケースです。
「アフィリエイターが書いた記事だから、自社の責任ではない」「ASP経由なので細かい表現までは把握できない」——こうした認識は、行政の判断とは大きく食い違っています。本記事では、化粧品・医薬部外品・健康食品を扱うメーカーや通販事業者の広告担当者に向けて、実際の処分事例から学ぶべき教訓と、構築すべき管理体制を整理します。
2026年3月の措置命令事例:何が問題とされたのか
事例の概要
2026年3月27日、東京都は、Instagram上の広告から遷移したアフィリエイト広告等において、美白美容液(医薬部外品)に関し、景品表示法第5条第1号(優良誤認)、同条第2号(有利誤認)、同条第3号(ステルスマーケティング告示)に該当する不当表示を行っていた通信販売事業者に対して、同法第7条第1項に基づく措置命令を行いました(出典:東京都生活文化局「景品表示法に基づく措置命令」2026年3月27日報道発表)。
東京都は、景品表示法第5条各号の3項目すべてについて違反が認定されたのは、ステマ規制施行後で初めてのケースであると発表しています。この点が、本事例の重要性を物語っています。
認定された4つの不当表示
具体的にどのような表示が問題とされたのか、公表内容をもとに整理します。

① 優良誤認表示(効果性能) 「NHK放送後、爆売れ中」という文言から始まるアフィリエイトサイト、および「医療機関の皆様、言っちゃいます」という文言から始まるアフィリエイトサイトにおいて、商品を使用することで、含まれる成分の作用により、誰でも、短期間で容易に皮膚に生じたシミが消えるかのように示す表示が行われていました。東京都が表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出を求めたところ、事業者はこれを提出しませんでした。
② 優良誤認表示(No.1表示) 「使い続けたいNo.1」「期待度No.1」「おすすめ度No.1」といった項目でランキング第1位を取得したかのように示す表示が行われていましたが、実際にそうした事実はありませんでした。
③ 有利誤認表示(キャンペーン表示) 表示当日に限り、アンケートに回答した先着者のみがキャンペーン価格の定期購入契約に申し込めるかのように表示していましたが、実際にはキャンペーンを行った事実はなく、アンケートに回答せずとも、自社サイトや他のECサイトから常に同じ価格で購入できるものでした。
④ ステルスマーケティング告示 仲介事業者を経由して複数のインフルエンサーに対価を提供する条件でInstagramへの投稿を依頼し、その投稿を「自社が依頼したものである」ことを明らかにせずに抜粋して、自社販売ウェブサイトに掲載していました。
なぜ広告主が責任を負うのか
東京都が明言した「責任の所在」
本事例で最も注目すべきなのは、東京都が公表資料の中で責任の所在について明確に述べている点です。
東京都は、当該事業者がアフィリエイトサイトについて広告代理店や広告制作・運用会社に広告内容の決定を委ねていたと認定しつつ、「そのような場合であっても、原則として景品表示法上の責任は広告主にある」と明記しています。
つまり、「制作を外部に任せていた」ことは免責の理由にならないという判断です。これはアフィリエイト広告を活用するすべての事業者にとって、極めて重要な指針といえます。
根拠となる「管理措置義務」(景品表示法第26条)
この判断の背景には、景品表示法第26条が定める「管理措置義務」があります。事業者は、不当表示を未然に防止するために必要な体制を整備し、必要な措置を講じなければならないと定められています。
2022年6月には、この義務に関する指針(「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」)が改正され、アフィリエイト広告に関する記載が追加されました。これにより、アフィリエイターの表現についても広告主が管理する責任があることが、より明確になっています。
自社サイトへの「引用」もステマ告示の対象になる
本事例の④が示すもう一つの重要な論点は、自社ウェブサイト上の表示であってもステマ告示の対象になり得るという点です。
消費者庁の運用基準では、事業者自身のウェブサイトであっても、特定のページにおいて当該事業者の表示ではないと一般消費者に誤認されるおそれがあるような場合、例えば専門家や一般消費者等の第三者の客観的な意見として表示しているように見えるものの、実際には事業者が第三者に依頼・指示をして特定の内容の表示をさせた場合には、第三者の表示は当該事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならないとされています。
「インフルエンサーの投稿を自社LPに引用して載せる」という手法は広く行われていますが、対価を支払って依頼した投稿である場合、その事実を明示しなければステマ告示違反となり得ます。
違反した場合のリスク
今回の措置命令では、以下の3点が命じられています。
①事業者が行った表示は景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること、②今後、同様の表示を行わないこと、③再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
措置命令が出されると事業者名が公表されるため、レピュテーション(企業評価)への影響も避けられません。また、優良誤認表示・有利誤認表示に該当する場合には、対象商品の売上額に応じた課徴金納付命令の対象となる可能性もあります。
なお、東京都は「東京デジタルCATS」として、SNS等に表示される不当なインターネット上の広告への対応力を強化するため、調査に係る専門的知見を有する助言員チームを導入し、継続的な情報発信を行っています。行政側の監視体制も強化されている点は認識しておくべきでしょう。
広告主が構築すべき管理体制
事例から導かれる実務的な対策を整理します。
① アフィリエイターへの表現ガイドラインの提供と周知
「自由に書いてよい」という運用は最もリスクが高い状態です。薬機法・景品表示法上NGとなる表現(効果の断定、根拠のないNo.1表示、期間限定を装った価格表示など)を具体的に示したガイドラインを整備し、提携時に必ず共有する体制が必要です。
② 掲載面の定期的なモニタリング
提携時のチェックだけでは不十分です。アフィリエイターが後から表現を書き換えるケースもあるため、掲載中のページを定期的に確認する運用が求められます。
③ No.1表示・ランキング表示の根拠管理
No.1表示は、調査の実施主体・調査対象・期間・出典を明示できる状態でなければ使用できません。アフィリエイターが独自に付け加えたランキング表現がないか、特に注意して確認する必要があります。
④ インフルエンサー投稿の二次利用ルールの明確化
対価を支払って依頼した投稿を自社サイトやLPに引用する場合は、「PR」「広告」等の表示を付し、事業者の表示であることが明瞭に分かる形にする必要があります。
⑤ 社内の責任分担の明確化
広告表現の最終責任が広告主にあることを踏まえ、法務・薬事部門と広告運用部門の連携フローを整備し、誰がどの段階で確認するのかを明文化しておくことが重要です。
チェック体制の実務的な課題
とはいえ、これらを人力で徹底するのは容易ではありません。アフィリエイトサイトは提携数が増えるほど掲載面が膨大になり、掲載内容も日々変化します。
さらに、今回の事例が示すように、問題となる表現は「シミが消える」といった効果の断定(薬機法・優良誤認)、「No.1」表示(優良誤認)、「本日限定」「先着」表示(有利誤認)、依頼投稿の無表示引用(ステマ告示)と、複数の法令・類型にまたがっています。 単一の観点でチェックしても見落としが生じやすい構造です。
「広告チェックAI」では、テキストや画像を入力するだけで、薬機法・景品表示法をはじめとした各種法令に抵触する可能性のある表現を検知し、代替表現の提案まで行うことができます。アフィリエイトサイトやLPの表現確認においても、複数法令の観点から横断的にチェックできるため、確認の工数を大幅に削減できます。自社の広告表現やパートナーの掲載面に不安がある方は、ぜひ資料請求でサービス内容をご確認ください。
よくある質問
Q. アフィリエイターが勝手に書いた表現でも、広告主が責任を負うのですか?
東京都は今回の事例で、広告内容の決定を外部に委ねていた場合でも原則として景品表示法上の責任は広告主にあると明記しています。ただし消費者庁の指針では、広告主とアフィリエイターとの間で表示に関する情報のやり取りが一切行われていないなど、広告主による広告とは認められない実態にあるものについては、通常は広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないとの考え方も示されています。どのような場合がこれに該当するかの線引きは明確とは言い難く、実務上は「管理していなかったから免責される」と期待せず、能動的に管理する体制を整えることが安全です。
Q. ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)経由なら、ASPが責任を負ってくれますか?
いいえ。景品表示法上の措置命令・課徴金納付命令の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。ASPやアフィリエイター自身は商品の供給主体ではないため、原則として広告主が責任主体となります。
Q. インフルエンサーの投稿を自社サイトに引用する場合、必ず「PR」表記が必要ですか?
対価を提供して投稿を依頼した場合、その投稿を自社サイトで引用する際には、事業者の依頼による表示であることを明瞭に示す必要があります。今回の事例では、依頼した投稿であることを明らかにせずに抜粋して掲載していた点がステマ告示違反と認定されました。
Q. 措置命令を受けると課徴金も必ず発生しますか?
必ずしも同時ではありません。今回の措置命令の内容は、違反の周知徹底、再発防止、同様の表示の停止です。ただし優良誤認表示・有利誤認表示については、別途課徴金納付命令の対象となる可能性があります。
まとめ
2026年3月の措置命令事例は、アフィリエイト広告の責任の所在について、行政の考え方を明確に示すものでした。ポイントは次の3点です。
- 広告内容の決定を外部に委ねていても、原則として景品表示法上の責任は広告主にある
- 効果の断定・No.1表示・期間限定表示・依頼投稿の無表示引用は、それぞれ異なる類型の不当表示となり得る
- 自社サイト上の第三者の声の引用も、ステマ告示の対象になり得る
アフィリエイト広告は費用効率の高い施策である一方、管理を怠れば自社に責任が跳ね返る構造にあります。パートナーの掲載面まで含めた管理体制を、この機会にあらためて点検してみてください。
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