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【2026年5月施行】指定濫用防止医薬品とは?「まとめ買い訴求」等の広告表現の見直しポイントを解説

2026.09.07

2026年5月1日、改正薬機法により「濫用等のおそれのある医薬品」が法律上の正式区分「指定濫用防止医薬品」に格上げされ、対象成分も8成分に拡大しました。これに伴い、これまで曖昧に運用されがちだった「過量消費・乱用助長を促すおそれのある広告の禁止」という既存ルールが、実務上きわめて重要になっています。「まとめ買い割引」「大容量パックがお得」といった、通販・ECで当たり前に使われてきた訴求表現が、対象成分を含む商品では改めてリスクとして見直す必要があります。

「陳列」「販売時の年齢確認」など、店頭オペレーションに関する解説記事はすでに数多く出回っています。しかし、広告・販促表現に対象を絞って解説した情報はまだ多くありません。 本記事では、OTC医薬品を扱うメーカー・EC担当者・通信販売事業者の広告担当者に向けて、押さえておくべきポイントを整理します。

指定濫用防止医薬品とは何か

「行政指導レベル」から「法律上の義務」への格上げ

これまで「濫用等のおそれのある医薬品」は、厚生労働省の通知に基づく行政指導という位置づけで運用されてきました。しかし2026年5月1日施行の改正薬機法により、これは**法律上の正式な区分「指定濫用防止医薬品」**として明文化されました。

この違いは実務上とても大きな意味を持ちます。これまでは事実上の「お願いベース」だった対応が、今後は法律に基づく義務となり、違反した場合は業務改善命令などの行政処分の対象になったということです。販売態勢の不備など他の違反とあわせて悪質と判断された場合には、業務停止・許可取消といったより重い処分に発展するリスクもあります。

対象成分は8成分に拡大(新規2成分を追加)

指定濫用防止医薬品の対象成分は、従来の6成分に加えて新たに2成分が追加され、合計8成分になりました。

対象成分
エフェドリン
コデイン
ジヒドロコデイン
ブロモバレリル尿素
プソイドエフェドリン
メチルエフェドリン
デキストロメトルファン(新規追加)
ジフェンヒドラミン(新規追加)

デキストロメトルファンは風邪薬、ジフェンヒドラミンは睡眠改善薬などに配合されていることが多く、これまで「規制対象外」という認識で販促していた商品が、新たに対象へ組み込まれているケースがある点に注意が必要です。自社の取り扱い商品の成分表を、この機会に改めて確認することをおすすめします。

なぜ「広告表現」の見直しも必要なのか

「過量消費・乱用助長を促すおそれのある広告」はすでに禁止されている

見落とされがちですが、指定濫用防止医薬品の新設以前から、厚生労働省が定める**「医薬品等適正広告基準」第4の4**において、次のルールが明記されています。

医薬品等について過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告は行わないものとする。

つまり、今回の法改正によって新しい広告ルールが生まれたわけではありません。既存のルールの重要性が、法改正によって一気に高まったというのが正確な理解です。

東京都の解説資料が示す具体的なNG行為

この基準の運用について、東京都保健医療局の監視指導資料では、より具体的に次のように説明されています。

複数購入した場合や、特定の金額以上の医薬品を購入した場合に値引きをする行為は、使用者の不必要な医薬品購入を助長させ、乱用や過量消費につながるおそれがある

つまり、「2個買うと10%オフ」「5,000円以上購入で送料無料」といった、通販・ECサイトでは定番の販促手法そのものが、医薬品に関しては原則NGとされているのです。これは今回新しく生まれたルールではなく、以前から存在していたにもかかわらず、実務では見過ごされがちだったポイントです。

指定濫用防止医薬品として法的な位置づけが明確になったことで、今後は行政側の監視の目もより一層厳しくなることが予想されます。

通販・EC担当者が今すぐ見直すべきNG表現パターン

具体的に、どのような広告・販促表現が問題になりやすいのか、代表的なパターンを整理します。

① まとめ買い割引・数量限定セール

「3個セットでお得」「まとめ買いで20%オフ」といった訴求は、購入数量を増やすことを目的とした表現であるため、過量消費の助長にあたるおそれがあります。特に対象8成分を含む商品では、原則として避けるべき表現です。

② 大容量パッケージの推奨訴求

「大容量でコスパ抜群」「ストック買いにおすすめ」といった、容量の大きさをメリットとして強調する表現も、同様のリスクを持ちます。改正後は年齢確認と連動して大容量製品の販売自体にも制限がかかる場面があるため、広告表現との整合性を取る必要があります。

③ 対象成分の合わせ買いをピンポイントで誘引する表現

送料無料ラインの設定自体が直ちに問題になるわけではありません。注意が必要なのは、「この風邪薬をあと2個買えば送料無料」のように、濫用リスクのある対象成分を含む商品の合わせ買いを名指しで誘導する表現です。こうした訴求は、過量購入を意図的に促していると受け取られるおそれがあります。

④ 年齢確認・購入制限を回避するかのような訴求

「面倒な確認なしでスピード購入」「今なら制限なく購入可能」といった、規制の存在を打ち消すような表現は、改正の趣旨に真っ向から反するため、最もリスクの高い表現です。

罰則面での変更点

指定濫用防止医薬品に関するルール違反は、これまでの行政指導とは異なり、以下のような段階的な行政処分の対象になり得ます。

  • 業務改善命令
  • 業務停止命令
  • 許可取消

広告表現が直接的にこれらの処分に直結するとは限りませんが、販売方法や陳列に関する規制違反と、広告表現の問題が同時に指摘されるケースは十分に想定されます。 広告担当者だけでなく、EC運営・店舗運営部門とも情報共有しておくことが望まれます。

広告担当者が今すぐできる対策

  • 自社の取り扱い商品の成分表を確認し、対象8成分を含む商品をリストアップする
  • 該当商品について、まとめ買い割引・数量限定セール等の販促企画を洗い出す
  • 「大容量」「ストック買い」等の表現を含むLP・商品ページ・広告バナーを棚卸しする
  • EC・店舗運営部門と、販売条件(数量制限等)と広告表現の整合性を確認する

とはいえ、自社の全商品ページ・広告クリエイティブを一つひとつ確認するのは、担当者にとって大きな負担です。特に「過量消費・乱用助長」のような文脈判断が必要な表現は、単純なキーワード検索だけでは見つけにくいという課題もあります。

「広告チェックAI」では、テキストや画像を入力するだけで、薬機法・景品表示法をはじめとした各種法令に抵触する可能性のある表現を検知し、代替表現の提案まで行うことができます。指定濫用防止医薬品に関連する広告表現の見直しにおいても、確認の手間を大幅に軽減できます。自社の広告表現に不安がある方は、ぜひ資料請求でサービス内容をご確認ください。

よくある質問

Q. 指定濫用防止医薬品ではない一般的なOTC医薬品にも、まとめ買い割引のルールは適用されますか?

はい。「過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の禁止」は、指定濫用防止医薬品に限らず医薬品全般に適用される既存のルールです。ただし実務上は、目薬やビタミン剤などの複数個セット販売が広く行われている実態もあります。指定濫用防止医薬品の8成分については、若年層のオーバードーズ問題を背景に社会的な関心・注目度が特に高まっている状況にあるため、優先的に見直すべき対象といえます。

Q. 医薬部外品や健康食品も同じ規制の対象になりますか?

「医薬品等適正広告基準」が定める過量消費・乱用助長の禁止規定は医薬品を対象としたものです。ただし、医薬部外品や健康食品についても、景品表示法上の観点から過度な購入誘導表現がリスクになり得る点は変わりません。取り扱う商品の区分に応じて、適用される規制を個別に確認することをおすすめします。

Q. すでに掲載しているまとめ買い割引の表現は、いつまでに修正すればよいですか?

法令上、明確な猶予期間が設けられているわけではありません。改正法はすでに2026年5月1日に施行されているため、対象成分を含む商品の販促表現については、できるだけ早い段階での見直しをおすすめします。

まとめ

2026年5月の改正薬機法施行により、指定濫用防止医薬品は法律上の正式な区分となり、対象成分も8成分に拡大しました。これに伴い、以前から存在していた「過量消費・乱用助長を促すおそれのある広告の禁止」という基準の重要性が改めて高まっています。まとめ買い割引や大容量訴求など、通販・ECでは当たり前に使われてきた表現ほど、今一度見直しの対象になり得ます。自社の広告表現が最新の規制に沿っているか、この機会にぜひ確認してみてください。

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